介護現場で見てきた「遺言書を残しておけば…」の実例
こんにちは。行政書士・介護福祉士の髙橋誠です。
私は行政書士になる前、約10年間、介護の現場で介護福祉士として働いておりました。その中で、本当に多くのご高齢の方とそのご家族に出会い、人生の最期に向き合う場面を目の当たりにしてきました。
そして、ご家族から幾度となく聞いた言葉があります。それが——「もう少し早く、遺言書を残しておけばよかった」です。
今回は、現場で見てきた「遺言書がなかったために起きた悲しい出来事」を、3つご紹介します。プライバシーに配慮し、内容は一部変更しております。
事例1:認知症が進んで、もう遺言を残せなくなった
80代のAさんは、ご主人を亡くされた後、お一人で生活されていました。お子様は3人いらっしゃいましたが、近くに住んで毎日のように通ってこられたのは長男のお嫁さんだけ。
Aさんは生前「お嫁さんには本当に世話になった。少しでも何か残してあげたい」とおっしゃっていました。しかし、認知症が進行してしまい、遺言書を書くことができないまま亡くなられました。
結果、お嫁さんには法定相続人としての権利がないため、何も受け取れませんでした。長男・次男・長女で平等に相続することになり、献身的に介護してきたお嫁さんは「これだけ尽くしたのに…」と涙されていたのを今でも覚えています。
もしAさんが元気なうちに「遺言書」または「生前贈与」「死因贈与契約」などの形で意思表示をしていれば、お嫁さんに何かしら遺すことができたはずです。
事例2:兄弟の仲が良かったのに、相続で分裂してしまった
Bさんは、お父様の介護をご自身が中心になって10年以上担っていました。仕事も辞め、お父様の家に同居して尽くしてこられました。他のご兄弟は遠方に住んでいて、年に数回顔を出す程度。
お父様が亡くなった後、遺言書がなかったため、ご兄弟3人で法定相続分(3分の1ずつ)で分けることに。Bさんは「自分はずっと介護してきたのに、何の労いもないのか」と不満を持ち、それまで仲の良かったご兄弟との関係が壊れてしまいました。
2019年から「特別寄与料」という制度ができ、介護に貢献された方の苦労が法的に評価される道もあります。しかし、申し立ては自分でしなければならず、ハードルは高い。やはり遺言書で「介護してくれたBには多めに」と意思表示しておくのが一番です。
事例3:内縁の妻がいたが、戸籍上の家族と揉めた
Cさんは10年以上、内縁関係の女性と暮らしておられました。しかし、籍は入れていませんでした。前妻との間にお子様もいらっしゃいました。
Cさんが亡くなった後、内縁の妻には法的な相続権がありません。前妻との間のお子様が法定相続人となり、Cさんと内縁の妻が住んでいた家まで相続の対象に。「ここから出ていってほしい」と言われ、長年連れ添った彼女は住む場所を失う寸前でした。
遺言書一通あれば、状況は全く違ったはずです。
介護現場で学んだこと:「想いは、かたちにしないと伝わらない」
これらの事例に共通するのは、ご本人には明確な「想い」があったのに、それを法的なかたちにしていなかったということです。
「遺言書なんて、まだ早い」「うちは仲が良いから大丈夫」——そう思っているうちに、認知症が進んだり、ご家族の関係が変わったり、状況は変わっていきます。
遺言書は、大切な人へ残す「最後のお手紙」です。あなたの想いを、確かなかたちで未来へ残す。それは、残されるご家族への最後の優しさだと、私は介護現場で学びました。
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