【仙台】相続財産の評価方法|不動産・有価証券・骨董品
「亡くなった父の遺産を分けたいが、不動産や株式の金額をどう計算すればいいかわからない」
「相続税の申告が必要かどうか判断するために、まず財産の総額を知りたい」
「兄が『この土地は〇〇万円』と言っているが、本当にその金額が正しいのか」
——相続手続きでは、まず相続財産の評価額を正確に算定することが出発点になります。相続財産の評価方法は、財産の種類ごとに国税庁の「財産評価基本通達」で詳しく定められており、同じ不動産でも評価方法によって金額が大きく変わります。評価を誤ると、相続税の過大納付や過少申告のリスクだけでなく、遺産分割協議での不公平、相続人間のトラブルにもつながります。この記事では、相続財産の評価方法を財産の種類別にわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 相続財産の評価が重要な理由
- 不動産(土地・建物)の評価方法
- 有価証券(上場株・非上場株)の評価方法
- 預貯金・現金の評価
- 骨董品・美術品・貴金属の評価
- 評価額を下げる特例(小規模宅地等)
- マイナスの財産(借金等)の扱い
はじめまして。宮城県仙台市宮城野区を拠点に活動している行政書士の髙橋誠です。相続財産の評価は、遺産分割協議と相続税申告の両方で基礎となる重要な作業です。介護福祉士として多くのご家族と関わってきた経験から、評価のつまずきやすいポイントを現場目線でお伝えします。
相続財産の評価が重要な理由
相続財産の評価が重要な理由は、大きく2つあります。1つ目は、相続税の申告が必要かどうか、必要な場合はいくら納めるかを決定するためです。基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人数」を超える場合、相続税の申告義務が生じます。例えば法定相続人が3人なら基礎控除は4,800万円で、これを超える評価額の相続財産がある場合、申告が必要です。(相続税が課税される割合は全体の8%程度です。相続税を気にされている方も課税されないことが大半です)
2つ目は、遺産分割協議で各相続人の取り分を計算するためです。「兄が自宅、弟が預貯金」と分ける場合でも、両者の価値が釣り合っているかを判断するには、正確な評価が欠かせません。評価を誤ると、後々「不公平だ」と争族の火種になることもあります。
特に、不動産や非上場株式等の評価が難しい財産がある場合、「どの評価方法を使うか」「補正率をどう当てるか」等で金額が大きく変わるため、慎重な判断が必要です。
不動産の評価方法
相続財産の中でもっとも評価が難しいのが不動産です。土地と建物に分けて、それぞれ異なる方法で評価します。
土地の評価は、原則として「路線価方式」で行います。国税庁が毎年7月に公表する路線価(道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格)に土地面積を掛けて計算します。路線価が設定されていない地域(主に郊外・農村部)では「倍率方式」を用い、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出します。宮城県仙台市内でも、中心部は路線価方式、郊外の一部は倍率方式が適用されます。
土地の形状(不整形地)、間口の狭さ、奥行きの長さ、傾斜等によって補正が入り、評価額が下がることがあります。この補正を正確に反映できるかどうかで、評価額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。相続税申告の際は、こうした補正を漏れなく適用することが節税のポイントです。
建物の評価は、固定資産税評価額をそのまま使います。市区町村から毎年送られてくる「固定資産税納税通知書」に記載されている評価額が、そのまま相続税評価額になります。賃貸中の建物は、借家権割合(通常30%)を控除できるため、評価額が下がります。
有価証券の評価方法
上場株式は、以下の4つのうち最も低い価額で評価します。
- 相続開始日(死亡日)の終値
- 相続開始月の終値の月平均
- 相続開始月の前月の終値の月平均
- 相続開始月の前々月の終値の月平均
値動きの激しい時期に相続が発生した場合、最低価額を選べる仕組みになっています。株価が高騰している時期の相続では、過去3か月の平均値を使うことで、評価額を抑えられる場合があります。
非上場株式(同族会社の株等)は、評価が非常に複雑です。会社の規模(大会社・中会社・小会社)により評価方法が異なり、「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「併用方式」を使い分けます。
原則として税理士の分野になりますが、同族会社の株を相続する場合は早めに専門家にご相談ください。
投資信託は、相続開始日の基準価額で評価します。信託報酬や解約手数料は控除できる場合があります。
預貯金・現金の評価
預貯金は、相続開始日時点の残高で評価します。普通預金は残高そのまま、定期預金は残高に経過利息(源泉所得税控除後)を加算します。各金融機関から「残高証明書」を発行してもらい、評価の根拠とします。手元現金(タンス預金)も相続財産に含めなければなりません。
注意が必要なのは、名義預金です。被相続人が子や孫の名義で作った預金で、実質的に被相続人が管理していたものは、相続財産として扱われます。税務調査で指摘されやすいポイントなので、要注意です。「名義は子でも、通帳・印鑑を親が持っていた」「子が存在を知らなかった」等の場合、名義預金と判定されます。
実際のご相談でも「自分名義で親が残してくれたのに口座を凍結されてしまった。どうすればいいですか?」というご相談が結構多い印象です。
名義預金の場合は、遺言書がないのであれば、遺産分割協議を行い銀行にて自分名義にする、又は解約して自身の口座に振り込まれるようにする等のご案内をさせて頂いております
骨董品・美術品・貴金属の評価
美術品・骨董品・貴金属等は、「売買実例価額」や「精通者意見価格」で評価します(いわゆる査定額)。有名作家の作品であれば鑑定士に依頼し、金・プラチナは相続開始日の相場で算定します。
家財道具一式等、価値のわかりにくい動産は、算定不能で評価することが多いです。ただし高級家具やブランド品等、個別に価値が高いものは単独で評価します。遺品整理の際に、価値のあるものを見落とさないよう注意が必要です。
評価額を下げる特例
相続財産の評価を大きく下げられる特例として、「小規模宅地等の特例」があります。被相続人が居住していた自宅の土地は、330平方メートルまで評価額を80%減額できます。例えば評価額5,000万円の自宅土地が、1,000万円まで減額される計算です。
適用には、配偶者が相続する、または同居親族が相続する等の要件があります。要件を満たさないと適用されないため、相続前の対策が重要です。事業用の土地(特定事業用宅地等)や貸付用の土地(貸付事業用宅地等)にも、別の減額特例があります。
この特例の有無で相続税額が数百万円単位で変わることもあるため、生前からの対策・相続時の正確な適用が極めて重要です。
マイナスの財産も忘れずに
相続財産には、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金・ローン・未払金等)も含まれます。これらは相続財産から控除できるため、評価を忘れないようにしましょう。借金が多い場合は、相続放棄や限定承認の検討が必要です。
控除できる主なものは、金融機関からの借入金、クレジットカードの未払残高、各種ローン、未払いの医療費、未払いの税金、葬儀費用等です。葬儀費用は、通夜・告別式の費用、火葬料、お布施、戒名料等が対象になります。香典返しや墓石購入費は原則対象外です。
みなし相続財産もチェック
法律上は相続財産ではないものの、相続税法上「みなし相続財産」として課税対象になるものがあります。代表例は死亡保険金と死亡退職金です。それぞれ「500万円×法定相続人数」の非課税枠がありますが、これを超える部分は相続税の対象になります。
これらを評価から漏らすと、相続税の過少申告になるため注意が必要です。
それでも悩む場合
相続財産の評価は、専門知識が必要な作業です。特に不動産や非上場株式の評価は、金額が大きいだけに慎重な対応が求められます。相続税の申告が必要なケースは税理士、遺産分割協議書の作成は行政書士、不動産登記は司法書士——と、専門家の役割分担が必要です。
宮城県仙台市の行政書士髙橋誠事務所では、必要に応じて税理士・司法書士の先生もご紹介しながら、相続手続き全体をトータルでサポートします。
まとめ
- 土地は路線価方式または倍率方式で評価
- 建物は固定資産税評価額を使用
- 上場株式は4つの価額のうち最低を選べる
- 預貯金は残高証明書で確認、名義預金に注意
- 小規模宅地等の特例で最大80%減額
- マイナスの財産・葬儀費用も控除対象
- みなし相続財産(生命保険金等)も忘れずに

