遺言書を書いておくべき8つのケース 仙台市の介護福祉士・行政書士が解説
遺言書を書くべき人とは?
「まだ早い」ではなく、“今だからこそ”考えたい理由~

「遺言書」という言葉を聞くと、多くの方は
「お金持ちが書くもの」
「高齢者になってから考えるもの」
というイメージを持たれるかもしれません。
しかし実際には、遺言書は“特別な人だけのもの”ではありません。
・家族関係が少し複雑
・財産は多くないが家や土地がある
・自分の意思をきちんと残したい
という方ほど、遺言書が重要になります。
相続は、亡くなった後に初めて問題が表面化します。
そして一度トラブルになると、家族関係が修復できなくなることも珍しくありません。
ここでは、「どんな人が遺言書を書くべきなのか」を具体例を交えながら解説します。
1.子どもがいない夫婦
もっとも遺言書が重要になる代表例です。
例えば、夫が亡くなった場合。
「財産は全部妻にいく」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。
子どもがいない場合、亡くなった方の両親や兄弟姉妹にも相続権が発生することがあります。
たとば、夫が他界してしまったとして、その夫に兄弟姉妹がいたとします。以前から交流を持たれていた方はマシかもしれませんが、「連絡等ほとんどとったことがない」という方は要注意です。
具体例
夫婦二人暮らし。
夫名義の自宅と預金がある。
子どもはいない。
夫が遺言書を残さず亡くなると、妻だけでなく、夫の兄弟姉妹も法定相続人となることで、以下の問題が発生します。
- 疎遠だった夫の兄弟姉妹と連絡を取る必要がある
- 兄弟姉妹のうち誰かがすでに死亡していて、子(甥・姪)がいると、その子も法定相続人となります。(代襲相続)
- 遺産分割協議書への署名押印が必要なので、皆で納得して協議がまとまるというのは難しい所があります。
- 場合によっては揉めて、調停・裁判等本来必要のなかった弁護士費用などが掛かることもあります。
しかし、
「全財産を妻に相続させる」という遺言書があれば、手続きは大きく変わります。
兄弟姉妹には「遺留分(相続人が最低限受け取れる取り分)」がありませんので、遺留分侵害額請求をされることもありません。※遺留分についての記事はこちらをご覧ください。
残された配偶者を守る意味でも、非常に重要なケースです。
2.再婚している人
再婚家庭では、相続関係が複雑になることがあります。
具体例
前妻との間に子どもが一人。
現在の妻との間にも子どもがいる。
この場合、遺言書がないと、
- 現在の妻
- 前妻の子
- 現妻との子
全員で遺産分割協議を行う必要があります。
実際には、前妻側の子どもと現在の家族が交流していないケースがほとんどでしょう。(まれに仲がいいみたいな話も聞きますが・・)
特に、
- 誰がどの財産をどのように相続するか
- そもそも、夫が前妻の子とは一切交流がないので相続させたくないと思っていた(遺留分は残りますが)
- 実夫の親の介護の有無
などは揉めやすいポイントです。
そこで遺言書によって
- 誰に何を残すか
- なぜその配分なのか
を明確にしておくことで、争いを防ぎやすくなります。
3.不動産を持っている人
「うちは財産が少ないから大丈夫」
と思っている方でも、自宅不動産がある場合は注意が必要です。
現金は分けやすいですが、不動産は簡単に分けらないのが現実です。
具体例
相続人が長男・長女の二人。
財産は実家のみ。
長男は「住み続けたい」。
長女は「公平に分けてほしい」。
すると、
- 売却するのか(売却して現金を分割)
- 長男が代償金を払うのか(不動産を長男が取得し残額を代償金として支払う)
- 共有名義にするのか(共有名義は後の権利関係を複雑化させるためおすすめはできません)
などで意見が対立することがあります。
特に地方では、「現金は少ないが土地建物はある」という家庭が多く見られます。
遺言書により「自宅は長男に相続させる」
など意思を明確にしておくことで、家族の遺産分割協議による負担を減らせます。
4.特定の人に多く財産を残したい人
家族への貢献度には違いがある場合があります。
具体例
長女が長年介護をしてくれた。
一方、他の兄弟とは疎遠。

このような場合、
「介護してくれた長女に多く残したい」と思うのは自然な感情です。
しかし遺言書がない場合、原則として法定相続分で分ける話になります。
すると、「介護してないのに同じ取り分なのか」という不満が生まれるのは人として当然の感情。
「介護」というのは「本人の特性や認知症」の進行具合にもよりますが、壮絶なものとなるのが一般的です。
それが場合によっては「何年も続く」のです。
そこにもし、遺言書があれば、自分の意思を反映しやすくなりますし、「介護」を担った長女も報われるのではないでしょうか?。
また、なぜその配分にしたのか付言事項として気持ちを書き残すことで、相続人同士の感情的対立を和らげる効果も期待できます。
5.独身の人
独身の方も遺言書は重要です。
具体例
独身で子どももいない。
親は既に他界。
兄弟姉妹が相続人になるケース。
本人としては、
- 兄弟姉妹に残す気はない
- お世話になった友人に残したい
- 特定の親族に渡したい
という希望があっても、遺言書がなければ実現できません。
また、兄弟姉妹同士で疎遠になっているケースでは、相続手続き自体が大きな負担になることもあります。(兄弟姉妹相続では、死亡した本人のみならず、その親の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を収集し、相続人を確定させる必要があるためです)住所が分からない場合は、「戸籍の附票」等を取り寄せ、疎遠の兄弟姉妹の「住所」を特定する必要もあります。
自分の意思を形にするためにも、独身の方にとって遺言書は大切です。
6.個人事業主・経営者
事業をしている方は、遺言書の必要性がさらに高まります。
具体例
小さな会社を経営している。
会社株式が亡くなった方名義。
遺言書がないと、株式が相続人全員の共有状態となります。
事業承継には「人」「資産」「知的資産」の3つの要素が必要だと言われています。
その為
- 経営判断ができない
- 後継者が決まらない
- 結果、会社運営が不安定になる
など、事業継続に支障が出ることがあります。
後継者(経営を任せられる)は誰にするか遺言書にて明確にしておいた方がよいケースです。「知的資産」は目に見えない資産です。経営理念、ブランド力、人材力などです。それを担える後継者に事業を託した方が、事業にとって好ましいということは言うまでもないでしょう。
個人事業でも、
- 設備
- 事業用口座
- 取引先との関係
などは整理して遺言書という形で残しておくべきでしょう。
「誰に引き継ぐか」を明確にする意味で重要です。
7.内縁関係の人がいる場合
法律上の婚姻関係がない場合、内縁の配偶者には原則として相続権がありません。具体例
長年一緒に暮らしていたパートナーがいる。
しかし籍は入れていない。
遺言書がない場合、財産は血族相続人へ渡ることになります。
事実婚や内縁と呼ばれる関係ですが、「婚姻」と決定的に異なるのは「相続権」がないこととなります。
つまり、長年支え合ってきたパートナーが何も受け取れないのです。
「そんな不条理な」と考えるかもしれませんが、法律に従えば現実はそうならざるを得ないのです。
そこで、遺言書によって、「〇〇へ一切の財産を遺贈する」
など意思を残すことで、内縁配偶者へ財産を渡すことが可能になります。
8.家族仲が悪い・何らかの不公平感のある相続
実は、「財産額」よりも「感情」のほうが争いの原因になることは少なくありません。
- 昔から兄弟仲が悪い
- 一人だけ疎遠
- 介護負担に差がある
- 不公平感がある
こうした事情がある場合、相続をきっかけに関係が悪化するケースがあります。
介護福祉士目線で見ると、やはり「介護負担に差がある」ことが、遺産分割の際、関係悪化の原因になることが多い印象です。
遺言書は、単なる財産分配を定めただけの「文書」ではありません。
「自分はこう考えていた」
「こうしてほしい」
という意思を家族へ伝える役割もあります。
仙台で遺言書を書くべきか・・という方へ。ご相談下さい。
遺言書を書くべき人とは、決して特別な人だけではなく、ごく普通の人も書いておく方が良いものです。
- 家族関係に少しでも複雑さがあり、遺産分割協議でもめてしまうので?と不安がある
- 不動産の分割でもめるのでは?という不安がある
- 特定の人へ特定の財産を渡したい想いがある
- 自分の理想とする家族象を実現するための意思を残したい思いがある
- 自分を介護してくれた相続人に多く遺産を残したい思いがある
という方ほど、遺言書を残しておくことの意味は大きくなります。
そして多くの場合、相続トラブルは
「悪意があったから」ではなく、
「何も決まっていなかったから」起こります。
遺言書は、残される家族への最後の思いやりとも言えるかもしれません。
「まだ早い」ではなく、元気な今だからこそ、落ち着いて考えられる。
それが遺言書作成の大きなメリットです。
どんな些細なご相談も丁寧にヒアリングた上で想いを実現する「遺言書」の作成をお手伝いいたします。
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