【仙台】遺言書に書けることと、書けないことを行政書士がわかりやすく解説。

こんにちは、宮城県仙台市で行政書士をしております、髙橋誠です。
本日は、「遺言書」に記載して効力を生じるもの、生じないものについて解説します。


皆様は
「遺言書に何でも書いていいの?」そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。遺言書は自分の意思を残す大切な書類ですが、実は法的に効力がある事項と効力がない事項があります。この記事では、遺言書に書けることと書けないこと、祭祀承継一身専属権についてわかりやすく解説します。

遺言書に書けること・書けないことがある理由

遺言書の書き方を教えている画像
遺言書を書いている風景

遺言書は、自分が亡くなった後に法的な効力を持つ書類です。しかし何でも書けばいいというわけではありません。民法で定められた事項だけが法的効力を持ちます。それ以外のことを書いても、遺言書としての法的効力はありません。

ただし、法的効力がない事項でも、家族へのメッセージや気持ちを伝えることはできます。そういった内容は「付言事項(ふげんじこう)」として書くことができます。この付言事項の記載は相続人のトラブル回避のために、とても有効です。そして、家族への「感謝の気持ち」を記載できるので、故人最後のメッセージとして是非書いて「想い」を伝えてください。

遺言書に書けること【法的効力がある事項】

財産に関すること

相続分の指定とは、法定相続分とは異なる割合で財産を分ける場合に指定することができます。例えば「長男に6割、次男に4割」というように指定できます。

遺産分割方法の指定とは、誰にどの財産を相続させるかを具体的に指定することができます。「自宅不動産は長男に相続させる」「預貯金は長女に相続させる」というように指定します。
また、相続分の指定と遺産分割方法の指定を組み合わせた「遺言書」を書くことも可能です。

遺贈とは、相続人以外の人、財産を活用してほしい法人に財産を贈ることができます。「友人の〇〇に△△を遺贈する」「〇〇慈善団体に寄付する」というように指定できます。
寄付等を受け付けていないという法人もあるため、生前にその旨を伝えておくといいと思います。

遺留分に関する定めとは、相続人の遺留分(最低限もらえる権利)を侵害する遺言も書くことはできます。

ただし遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。
私は個人的に余程の事情がない限り、基本的には遺留分に配慮した、遺言書を作成することが望ましいと考えます。

身分に関すること

認知とは、婚姻関係にない相手との間の子どもを自分の子として認めることができます。遺言による認知は、遺言が効力を生じた時(遺言者が亡くなった時)から効力が生じます。生前は憚られる事情がある場合、生前認知によるトラブルを避けつつ、死後に認知する際に利用されます。
認知された子には、父親と親子関係が生じ法定相続人となります。

相続人の廃除・廃除の取り消しとは、著しい非行や虐待など正当な理由がある場合、特定の相続人を相続から廃除することができます。また生前に行った廃除を取り消すこともできます。
この著しい非行や虐待についてですが「ただ仲が悪いから財産をあげたくない」という理由では、相続人排除はできませんのでご留意ください。

後見人の指定とは、未成年の子どもがいる場合、後見人を指定することができます。
遺言書で指定できる後見人は「未成年後見人(未成年の子の養育や財産管理をする人)」のみで、成年後見人(認知症の方等の財産管理・身上看護を行う人)の指定はできませんので、混同しないよう注意が必要です。
両者の違いわかりにくいですよね・・。

遺言の執行に関すること

遺言執行者の指定とは、遺言書の内容を実現するための遺言執行者を指定することができます。信頼できる家族や行政書士・弁護士などの専門家を指定することが多いです。
※遺言執行者については別記事で詳しく書きますね

祭祀承継者(さいししょうけい)の指定

祭祀承継(さいししょうけい)お墓・仏壇・位牌などの祭祀財産は通常の財産とは別ルートで継承されます。

祭祀承継(さいししょうけい)とは、お墓・仏壇・位牌などの祭祀財産を誰が引き継ぐかを決めることです。祭祀財産は通常の相続財産とは異なり、相続人全員で分けるものではありません。

遺言書で祭祀承継者を指定できる

民法第897条では「被相続人は、遺言で祭祀承継者を指定することができる」と定められています。つまり遺言書でお墓や仏壇を誰が管理するかを指定することができます。

祭祀承継者を指定するメリット

祭祀承継者を指定しておくことで、誰がお墓を管理するかをめぐる家族間のトラブルを防ぐことができます。特に相続人が複数いる場合や、家族関係が複雑な場合は、あらかじめ指定しておくことが大切です。

祭祀承継者を指定しない場合

祭祀承継者が指定されていない場合は、慣習に従って決まります。慣習が明らかでない場合は家庭裁判所が決定します。トラブルを避けるためにも、遺言書で明確に指定しておくことをおすすめします。

祭祀承継者の義務と負担

祭祀承継者は、墓地の管理費や法要の費用などを負担することになります。ただし祭祀財産(お墓・仏壇など)は相続税の課税対象外です。
祭祀承継者が負担する費用を考慮して、他の財産を多めに相続させる旨を遺言書に記載することも可能です。

一身専属権とは

一身専属権の意味

一身専属権(いっしんせんぞくけん)とは、その人だけが持つことができる権利のことです。本人と権利が一体化しており、他の人に引き継がせることができません。

相続されない一身専属権の例

①生活保護受給権は、生活保護を受ける権利は本人だけのものであり、相続されません。

②扶養請求権は、扶養を受ける権利は本人固有のものであり、相続されません。

③雇用契約上の地位は、労働者としての地位は相続されません。
ただし未払い賃金などの債権は相続されます。

④年金受給権は、年金を受け取る権利は本人のものであり、原則として相続されません。ただし未支給年金は遺族が請求できます。

⑤慰謝料請求権については、生前に慰謝料請求の意思を示していた場合は相続されることがあります。

他にもありますが要するに「個人の才覚や地位」等に依存した財産は相続対象となりません。

遺言書で一身専属権を引き継がせることはできません

一身専属権は、遺言書に書いても相続させることはできません。例えば「私の生活保護受給権を長男に引き継がせる」と書いても法的効力はありません。

遺言書に書けないこと【法的効力がない事項】

相続人への指示など

「長女は親の面倒をみること」などの指示は、遺言書に書いても法的効力はありません。

ただし「〇〇を条件に財産を相続させる」という負担付遺贈は有効です。

つまり「親の面倒をみること」と、いう条件を付けた遺贈の事です。

葬儀・お墓に関する希望

「葬儀は家族葬にしてほしい」「散骨してほしい」などの葬儀に関する希望は、法的効力はありません。しかし付言事項として書いておくことで、家族への希望を伝えることができます。

臓器提供の意思

臓器提供の意思は遺言書に書いても法的効力はありませんが、別途「臓器提供意思表示カード」や健康保険証への記載で意思表示することができます。

相続人間の約束事

「相続人同士は仲良くすること」「長男と次男は協力して家業を続けること」などの相続人間の約束事は法的効力がありません。下記の付言事項に記載しましょう。

付言事項(ふげんじこう)とは

付言事項の役割

付言事項とは、遺言書の中で法的効力はないものの、家族へのメッセージや気持ちを伝える部分です。法的効力はありませんが、家族への想いを伝える大切な役割があります。

付言事項に書けること

「家族への感謝の言葉」「遺言を作成した理由や想い」「葬儀や法要に関する希望」「財産の分け方に込めた想い」「家族へのメッセージ」などを自由に書くことができます。

付言事項が重要な理由

遺言書の内容に不満を持つ相続人がいた場合、付言事項に込められた遺言者の想いが、相続人間のトラブルを和らげる効果があります。「なぜこのような遺言にしたのか」を丁寧に説明することで、家族の納得感が高まります。

疑問点などがあればお気軽にご相談ください。

遺言書には法的効力がある事項と効力がない事項があります。祭祀承継者の指定や財産の分配など、法的効力がある事項を正確に記載することが大切です。また付言事項を活用して家族への想いを伝えることも、遺言書を作る上でとても大切なことです。

「遺言書に何を書けばいいかわからない」「遺言書に書いていい財産なのか判別が難しい」「自分の想いを正確に遺言書に残したい」そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
丁寧にヒアリングを行い想いを形にするお手伝いをさせて頂きます

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